恩田陸 理瀬シリーズ最新作「薔薇のなかの蛇」あらすじと感想

この記事では、ファン待望の17年ぶりのシリーズ最新作として注目の「薔薇の中の蛇」について、あらすじと登場人物、そして理瀬シリーズ一覧や読む順番まで詳しく解説!

ぜひ最後までお付き合いください。

薔薇の中の蛇

「薔薇の中の蛇」とは?

「薔薇の中の蛇」は、英国貴族の館を舞台にしたゴシック・ミステリ小説です。著者は「蜜蜂と遠雷」で史上初の直木賞と本屋大賞をW受賞を果たした恩田陸さんです。
本作はファンの間で高い人気を誇る「理瀬シリーズ」最新作となります。

作品情報

タイトル 薔薇の中の蛇
著者名 恩田陸
発売日 2021年5月26日
ページ数 322ページ
価格 1,870円(税込)

 

あらすじ

英国へ留学中のリセ・ミズノは、友人のアリスから「ブラックローズハウス」と呼ばれる館で開かれるパーティに招かれる。そこには国家の経済や政治に大きな影響力を持つ貴族・レミントン一家が住んでいた。アリスの長兄・アーサーらと交流を深めるリセ。
折しもその近くでは、首と胴体が切断された遺体が見つかり「祭壇殺人事件」と名付けられた謎めいた事件が起きていた。このパーティでレミントン家の当主・オズワルドが一族に伝わる「聖杯」を披露するのでは、とまことしやかに招待客が囁く中、悲劇が訪れる。
屋敷の敷地内で、真っ二つに切られた人間の死体が見つかったのだ。祭壇殺人事件の続きなのか…。

 

登場人物

リセ…アリスの友人。ケンブリッジ大学で美術史を専攻している。

アーサー…レミントン家の長男。

デイヴ…レミントン家の次男。

アリス…レミントン家の長女。考古学を専攻し、理瀬の友人。

エミリア…レミントン家の次女。華やかな女子大学生。

オズワルド…アーサー達兄弟の父親でレミントン家の当主。

感想

もう読めないかもしれないと思っていた理瀬シリーズ、家まで待ちきれずに本屋さんで買ってすぐ隣のスタバで読み始めました。

霧が立ち込める英国の田園地帯…。冒頭から期待が高まります。そして理瀬の登場!大学生になったのか~。小学生の時から知っているので感慨深い…。

おや?なかなか理瀬が出てこないと思ったら、今回は理瀬ではなくアーサーの視点で物語が進むんですね。新鮮です。

そしてまた事件。なかなかグロい…。

"元々は北、東、西、羊、魚の5つの館があり、上から見ると花弁のようになっていた。" というブラックローズハウスのディテールも素敵でした。
本筋の事件自体は若干う~んという感じでしたが、世界観を愛してるので読んでいる間中幸せでした。

秋の夜長にお酒を飲みながら読むのにぴったりな作品でした!

初回限定版特典

初回限定特典として、北見隆さんが手掛けられたこれまでの理瀬シリーズ単行本装画のポストカードが4種類のうち1種がランダムで1枚ついてくるんです。
これは…全種類欲しい。


2000年に発売された学園ミステリ小説『麦の海に沈む果実』の主人公である 水野理瀬(ミズノ・リセ)が登場する作品は、恩田ファンの間で「理瀬シリーズ」と呼ばれています。

理瀬が初めて恩田作品に登場したのは、『三月は深き紅の淵を(1997年)』の第四章「回転木馬」です。
その後『麦の海に沈む果実(2000年)』で主人公となり、『黒と茶の幻想(2001年)』や、『黄昏の百合の骨(2004年)』と続いていきます。
そして、2021年に発売された『薔薇のなかの蛇』が17年ぶりの理瀬シリーズ最新作となります。



刊行順だと以下のようになります。

三月は深き紅の淵を(1997年)

鮫島巧一は趣味が読書という理由で、会社の会長の別宅に2泊3日の招待を受けた。彼を待ち受けていた好事家たちから聞かされたのは、その屋敷内にあるはずだが、10年以上探しても見つからない稀覯本「三月は深き紅の淵を」の話。たった1人にたった1晩だけ貸すことが許された本をめぐる珠玉のミステリー。




麦の海に沈む果実(2000年)



図書室の海(2001年)

あたしは主人公にはなれない――。関根夏はそう思っていた。だが半年前の卒業式、夏はテニス部の先輩・志田から、秘密の使命を授かった。高校で代々語り継がれる〈サヨコ〉伝説に関わる使命を……。少女の一瞬のときめきを描く『六番目の小夜子』の番外篇(表題作)、『夜のピクニック』の前日譚「ピクニックの準備」など全10話。


黒と茶の幻想(2001年)
理瀬は登場しませんが、「麦の海に沈む果実」で理瀬の同級生として登場した憂理のその後が描かれています。

太古の森をいだく島へ――学生時代の同窓生だった男女四人は、俗世と隔絶された目的地を目指す。過去を取り戻す旅は、ある夜を境に消息を絶った共通の知人、梶原憂理(ゆうり)を浮かび上がらせる。あまりにも美しかった女の影は、十数年を経た今でも各人の胸に深く刻み込まれていた。「美しい謎」に満ちた切ない物語。

記憶から消せない過去を誰もが持っている!同級生の男女四人による神聖な島への旅。雨の音を聞きながら、静かな森の中を進んでいく四人の思いは現在から離れ、過去の不思議な事件へと引き戻されていく。それぞれの回想は想像もつかない真相へと迫っていく…。



黄昏の百合の骨(2004年)

「自分が死んでも、水野理瀬が半年以上ここに住まない限り家は処分してはならない」亡き祖母の奇妙な遺言に従い、「魔女の館」と噂される洋館に、理瀬は、やってきた…。

まとめ

「薔薇の中の蛇」は、理瀬シリーズを読んだことがなくても十分に楽しめますが、知っていると更にさらに楽しめるという作品です。理瀬シリーズはもう全部読んだよ、という人もこれを機に読み返してみてはいかがでしょうか。
まだまだ続きそうな理瀬シリーズから今後も目が離せません!

そして、本作のようなゴシック調の世界観が気に入った方は同じく恩田陸さんの「ネクロポリス」もおすすめです。こちらもぜひ読んでみてください。

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